◎ 破産不動産の任意売却について
1.不動産売買を中心とした破産手続きの流れ
破産とは、債務者が経済的に破綻したときに、総債権者に対する公平な弁済を目的として、債務者の総財産を清算する裁判上の手続きです。
債務者について破産手続開始決定がなされると、債務者は破産者となり、破産管財人が選任されます(なお、破産管財人には通常、弁護士が選任されています)。
破産手続開始の時における破産者 (債務者)の財産は破産財団となり、破産者 (債務者)はその財産の管理処分権を失い、その後は破産管財人が管理処分権を有することになります。
破産管財人において、破産債権の調査等を行う一方、破産財団に属する一切の財産を管理換価し、確定した破産債権者にその順位および額に応じて配当します。
なお、破産管財人は、破産裁判所の許可のもとに、抵当権者等の同意を得て不動産の任意売却等を行い、売却代金のうち一定額を破産財団に組入れるように努めます。
2.不動産の任意売却契約の特徴
(1) | 破産管財人が売主 |
(2) | 破産管財人は破産裁判所の許可(売却許可証)を得て、不動産を売却 |
(3) | 権利書や保証書が無くても決済可能 |
◎ 破産管財人による不動産の処分
1.破産財団に属する財産の売却
(1) | 破産管財人が破産財団に属する財産の管理処分権を有する |
(2) | 不動産等重要な財産の処分については裁判所の許可が必要 |
2.破産管財人の任意売却に対する対応
(1) | 売却代金の一定額を破産財団に組み入れる | ||
(2) | 破産財団に組入れる金額確定 | ||
(3) | 一定額を破産財団に組み入れる主な理由 | ||
① | 破産債権者の意思に報いるため | ||
② | 抵当権者等の担保権者にとって任意売却のほうが競売よりも回収額が増えるため |
3.破産管財人の職責
(1) | 破産債権者に配当する職責 |
破産管財人は、破産財団を集めて破産債権者に配当する職責を負っています |
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(2) | 破産管財人による任意売却・担保権消滅許可 |
破産管財人は、担保権がついたまま不動産を任意売却することもできますが、実務では担保権者の同意を得て、担保権を抹消した上で売却するのが通常です。 |
◎ 仲介業者の業務 (弊社の役割)
1.破産管財人へ価格査定報告書を提出
破産財団に属する不動産を調査のうえ査定し、破産管財人へ価格査定報告書を提出します。報告書は、抵当権者等の担保権者との交渉や、裁判所の許可を取得するためにもご利用ください。
報告書には、査定額のほかに、公示価格、基準地価、路線価、成約事例、販売事例および建築の制限に関する事項(用途地域、建ぺい率、容積率等)等を記載します。また、報告書は、不動産鑑定士の鑑定書と異なることをご理解ください。
2.営業活動のポイント
(1) | 破産管財人から依頼を受けて売却活動開始 |
(2) | 不動産の媒介契約を締結※レインズには登録なし(別途相談) |
(3) | 折込みチラシ(投込みチラシも含む)やインターネット等、一般消費者向けの広告は行いません。 |
(4) | 一般のお客様に紹介する際は、特に注煮して 「債権者の都合により取引ができなくなる可能性があること」を説明。また、お客様に販売図面を渡す場合は、事前に破産管財人に了解を得た上で、「任意売却不動産」である旨を記載した販売図面にします。 |
(5) | 契約の際は必ず、抵当権等の担保権がすべて抹消できることを条件とする「停止条件付契約」で契約になります。 |
3.破産管財人へ購入申込書を提出
4.各債権者と配分額の交渉 (破産管財人の業務を補助)
5.一覧表 (配分表)の作成 (破産管財人の業務を補助)
仲介業者が破産管財人の業務を補助するときは、各債権者と交渉した配分額の内容を一覧表 (配分表)に記載します。
6.借家人との立退交渉 (破産管財人の業務を補助)
7.重要事項説明書の作成
8.売買契約書の作成
9.決済書類の確認 (「権利書」や 「保証書」なし)
◎ 売買契約における注意事項
1.売主の表示
破産の場合は、破産者の所有する財産 (不動産等)は破産財団となり、その管理処分権は破産管財人に移るため、破産管財人が売主となります。
2.破産管財人が裁判所の許可を得ることを条件とする特約例
破産管財人による取引で、破産法78条の裁判所許可を条件とする特約例を記載します。
破産手続のフロー