国土交通省が3月に発表した2018年1月1日時点の公示地価は、全国平均(全用途)で前年比0.7%プラスと3年続けて上昇しました。低金利でお金を借りやすい環境のもと、住宅地も同0.3%プラスと価格上昇がじわりと全国的に広がっているようです。首都圏では金利が下がり始めた13年以降、不動産価格が上昇している実感があります。東京都内の公示地価がどのように上昇してきたかというと商業集積度や昼夜の利便性が高く、にぎわいもある駅周辺の価格が大きく上昇、都区部は価格上昇に拍車がかかり、駅に近いほど価格上昇の傾向が強く表れたと考えられます。いわゆる「駅近地価現象」です。この先、土地の価格がどのように推移するかは分かりませんが、住宅地の価格上昇の主因が金利低下であると考えると、さらに勢いを増して上昇することはないと考えています。仮に金利が上昇し、景気が腰折れするといった事象から市場が値下がり局面に移行した場合でも、「値下がりしにくい立地」かどうかは、駅が持つ人を引き寄せる力と駅からの距離が大きく影響します。一方、利便性がさほど高くない郊外立地の駅の場合、駅界隈の価格は周辺地域と同程度に緩やかに上昇したため、駅から離れても思ったほど価格差が生じなかったのだと思われます。