2016年の金融機関による不動産融資は、前年を15.2%上回り1977年以来で過去最高になりました。地価上昇で不動産投資信託向け融資などが増え「バブル」といえるような状況にはないものの、節税を目指したアパートの過剰建設などひずみも広がり始めました。追い風は地価上昇です。国土交通省によると、東京湾岸エリアの地価上昇は82カ所で下落はゼロ。2020年の東京五輪をにらんだ大規模な都市開発への期待から土地の先高観が台頭しています。また、アパートを建築すると課税する際の資産の評価額が下がり、相続税の節税効果を期待。もっとも人口減社会での貸家の大幅な着工増は実需に見合わず、不動産融資がいびつになりつつあります。不動産業全体では実需があるとしつつも、地方都市を中心に空室が増えると不動産価格の下落につながり、経済にとってマイナスに働く現象になる可能性があります。