株安・円高で経営者の心理が冷え込み、賃金や設備投資を押し上げるアベノミクスの好循環にブレーキがかかっています。市場の関心は、消費増税の先送りや経済対策に向かい5月の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)前後にも安倍晋三首相が増税先送りを表明するとの見方がくすぶります。増税をすれば個人消費などに駆け込み需要が発生し、その反動で17年度はマイナス成長に陥ります。一方、先送りならマイナス成長は避けられますが、待機児童対策など社会保障の財源が確保できなくなる恐れがあります。働く人の不安が高まり、むしろ「財布のひもが締まりかねない」ため財政健全化目標の達成時期も遠のきます。もたつく景気、再燃する増税延期論、道半ばの成長戦略を着実に実行することが何よりの経済対策になります。