パンデミックが明けて社会経済活動が本格化した一方で、手厚いコロナ支援策が終わり、実質無利子・無担保のいわゆるゼロゼロ融資が返済できずにいる。過去のセオリーでは、倒産が増えれば差し押さえられる不動産が増えるが足元ではそうはなっていない。東京地裁本庁の2023年の開札結果は対象物件数が2割以上も減っており、不動産競売市場は縮み続けている。東京地裁本庁の開札結果を見ると、23年の対象物件数は541件と前年比2割以上も減ったが、大阪・愛知・福岡の3府県の本庁支部の合計数を見るとそうではない。大阪は740件(前年比15.40%増)、愛知が479件(同15.90%増)、福岡が364件(同0.13%増)とプラスで推移している。東京地裁本庁の統計を追い始めてから30年以上になるが最少件数ではないか。この減少の理由は土地値が上がり、不動産が不良債権化しないことが挙げられる。倒産があっても任意売却すれば債務をクリアできるからだ」と分析する。1都3県の競落物件数を見ても、東京のみが二桁の落ち込みである。今の競売市場は東京が資産バブルの状態であることを裏付けている。