国税庁は、相続税や贈与税の算定基準となる2022年分の路線価(1月1日時点)を発表しました。全国約32万地点の標準宅地は平均で前年に比べて0.5%上昇、新型コロナウイルスの感染拡大の影響が徐々に緩和され、人流の増加などの期待が集まった観光地や繁華街などでプラスに転じたり下げ幅が縮小したりした地点も多く、2年ぶりに前年を上回りました。今回の路線価はオミクロン型が猛威を振るった「第6波」前の今年1月1日時点の価格のためインバウンド(訪日外国人)の減少といった新型コロナの影響は続いているものの、3月に感染対策の行動制限が全面解除されて以降、足元では国内旅行者などの客足が回復傾向にあるとみられます。2021年分の下落率がトップだった奈良市は、前年に比べて1.4%マイナスでしたが、下落幅は11.1ポイント縮小しました。リモートワークの浸透などで、郊外の住宅地などで路線価が上昇する地点が目立ち都心のオフィス街は昨年に続いて下落しました。オフィスビルなどが建ち並ぶ東京都千代田区丸の内はマイナス1.3%と、前年(マイナス1.1%)より下落幅が拡大、中央区八重洲もマイナス1.3%となりました。
東京国税局の担当者は「在宅勤務の広がりなどコロナ禍での働き方の変化を受けて、東京都心のオフィス街は空室率が高くなり、賃料が低下する傾向にある」と指摘しています。