日本の住宅市場で中古住宅の取引が占める割合は、米欧などと比べ大幅に低いようです。国土交通省の資料によると2018年は日本15%弱、米国の81%、英国の86%を大きく下回ります。性能や保全状態が良質な在庫が少なく、買い手にとって情報が少ないことなどが要因です。結果として建物価値が下がり、売却してもローンが残ることが多いため同じ住居に住み続ける傾向にあります。しかし最近は、新築物件の価格高止まりを背景に中古住宅への需要が強まっています。東日本不動産流通機構によると、首都圏の中古物件の成約件数はマンションが前年同月比2.1倍、戸建てが約2倍。コロナ禍で緊急事態宣言が出た2019年からの反動もあり大きく増えました。そのため中古住宅の価格も上昇傾向です。不動産調査会社は「低金利に加え、新型コロナの影響で買い需要は強い。一方で先高観から売り時を待つ人が多く、需給の逼迫は当面続くだろう」と分析。中古物件を売却して譲渡益が十分に出るなら、住み替えを検討している人も売りやすくなる「マイホームの購入は一生に1度」の状況に変化が生まれる可能性もありそうです。