国土交通省が3月18日まとめた公示地価は、調査時点が新型コロナウイルスの広がる前の1月1日とあって全国平均は5年連続で上昇しました。上昇地点が地方中小都市に広がり、地方圏はバブル崩壊後の1992年以来、28年ぶりに上昇に転じました。しかし、緩やかな上昇を続けてきた地価の先行きに不透明感が強まっています。新型コロナウイルスの感染拡大で地価を支えてきた訪日客需要が急減しており、不動産マネーの動向も気がかりです。三大都市圏の地価は、頭打ち傾向、上昇率をみると東京圏はわずかに伸びましたが、名古屋圏は鈍化。不動産マネーは、収益性を求めて投資対象を選別する動きを強めています。すでに不動産投資信託(REIT)は、訪日客の急減でホテルなどの収益が見通せず、指数が急落。株価の下落は、富裕層の不動産投資を慎重にさせ、不動産価格に波及する可能性があります。都市部でオフィス需要を支える企業の人材確保意欲は根強いですが、テレワークの広がりはオフィス需要にも変化をもたらす可能性があります。やはり東京五輪後の行方が都心の再開発に影響するため、地価の先行きを注視すべきでしょう。