もし認知症になったら、誰が支えてくれるか不安です。お金の管理もできなくなると聞きます。国の推計によると2012年に462万人だった認知証患者は2025年に約700万人に増えます。個人でできる対策では、成年後見制度の活用があります。代理人(後見人)を付けることで自分の財産や権利を法的に守ってもらう仕組みです。同制度には「法定後見」と「任意後見」という二つの形式があります。前者の法定後見はすでに認知証などになって財産管理や契約行為ができない場合、裁判所が後見人を決めて保護するものです。早めの対策で有効なのは任意後見のほうです。判断能力のあるうちに自ら後見人を選び、財産管理や生活、看護・介護について契約しておきます。もしも判断能力が低下したらその効力が生じ、後見人が手続きをしてくれます。「任意後見は将来の認知症に備えるための保険」になります。成年後見制度の利用者は、全体で約22万人いますが、大半は法定後見です。任意後見の契約件数は、年間1万ほどと少ないのが現状です。国は2016年に定めた成年後見制度利用促進法の中で任意後見の積極的な活用をうたっています。