不動産競売市場の収縮が止まりません。新型コロナウイルス感染下では政府による実質無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)が企業の資金繰りを支えましたが、その融資の元本返済が徐々に本格化し、倒産が増加するにつれて競売物件が増加に転じると思いきや、競売件数は減少が続く想定外の動きを見せています。2023年上期(1~6月)の東京地裁本庁の開札状況は、不動産景気の強さと消費者の購買意欲の二極化を映し出しています。東京地裁本庁のデータでは、23年上期の競売対象件数は前年同期との比較で約3割減総入札数は約4割も減少。企業の倒産件数は増加していますが、競売市場に不良債権化した物件が出てきません。任意売却や差し押さえ前に通常の不動産流通市場で消化されている現状を映し出しています。新型コロナ支援融資をうまく生かせないまま物価高や人手不足に見舞われた企業は少なくないため、引き続き企業倒産は増えると想定されますが、競売マーケットは縮小傾向が止まらない展開が続きそうです。