都道府県別の物価差を示した総務省の2021年消費者物価地域差指数で物価を構成する10大費目のうち、家賃など住居費(住宅ローン含まず)が最も高いのは東京都だった。全国平均を3割上回る高水準で、2番手の神奈川県との差は新型コロナウイルス感染拡大前より開いた。インフレ抑制へ海外で相次ぐ利上げにつられ、国内でも住宅ローンの超長期固定金利が上昇し始めている。持ち家志向が徐々に後退して賃貸に流れる動きが最大市場の東京都でみられている。コロナ禍の影響を受け指数は19年比で若干下がっているが、家賃がさらに急騰すれば給与所得者の家計を圧迫し、住環境の悪化などを招く懸念がある。日常的な購買価格を追う消費者物価では住宅や土地の購入は対象外になり、住居の指数は主に家賃で構成されている。家賃相場は地価と連動するほか、賃貸住宅が多い地域ほど高い傾向にある。総務省が5年に1度公表する住宅・土地統計調査で直近18年の結果をみると、指数最高の東京都は貸家となっている住宅の割合が49.1%なのに対し、指数最低の香川県は29.0%だった。世界的なインフレのさなかで東京都を中心に家賃が一段と高騰する懸念がある。住宅ローン金利が上昇すると、家計調査で家賃・地代を支払う世帯の割合が高まる傾向にある。22年に入って住宅ローンの超長期固定金利は上昇傾向を続けており、賃貸住宅シフトが家賃相場をさらに押し上げかねない。