国土交通省が発表した2021年1月1日時点の公示地価によると、東京・名古屋・大阪の三大都市圏の地価(全用途平均)は8年ぶりにそろって下落しました。新型コロナウイルスの感染拡大で、飲食や物販の店舗閉鎖、オフィス縮小が進み、商業地を中心に地価は振るわなかった。一方で、リモートワークや巣ごもり消費の拡大などコロナで生じた生活の変化が大都市近郊の地価を押し上げた面もあます。地価のカギを握るのは、新型コロナウイルスの感染状況です。ワクチン接種に期待が集まり、東京五輪・パラリンピックも海外一般観客受け入れを断念。訪日客は増えそうにないため地価上昇を見込める材料は乏しい。地価が上昇基調に戻るにはしばらくかかるとしつつワクチンの普及でコロナ収束にメドがつけば、消費拡大をテコに急回復する可能性があります。また、首都圏事務所は、空室率上昇と賃料下落が続くとみられ、下落圧力が強いと先行きを慎重にみることになります。
一方、国内不動産に割安感が出たことで投資が加速するとの見方もあります。2020年の国内不動産取引件数は、前年同期比33%減。第4四半期は7%減とやや持ち直したが海外マネーも流入し20年の対日不動産投資は前の年から51%増えました。欧米に比べ、コロナの状況はアジアのほうが落ち着いています。低金利の環境もあり、日本への投資需要は今後も高まる可能性があります。