不動産経済研究所が発表した2020年の全国の新築マンション発売戸数は、前年比15.2%減の5万9907戸。2年連続で前年実績を下回り、1976年以来44年ぶりに6万戸を割り込みました。新型コロナウイルスの感染拡大で不動産各社が全国で営業活動を一時停止、一方で平均価格は4年連続で上昇しました。在宅勤務の普及を受け、郊外を中心に広さや割安感に優れる新築一戸建てを選ぶ人も増えています。2020年の発売減の要因は、新型コロナの発生だけではなく全国の1戸当たりの平均価格が上昇したことが象徴するように、価格高騰などで近年の新築マンション販売は低調でした。従来のオフィス一極集中から在宅勤務の普及を背景に生活者の働き方が変わり、住まいの選択肢が広がったことも見逃せません。2020年はマンションや賃貸住宅に住む人々が在宅勤務となり、家を手狭に感じて乗り換える動きがみられました。2021年の新築マンション販売については、2020年と比べて15%増の6万9000戸予想となり、3年ぶりに増えそうです。郊外人気は持続する可能性が高く、焦点は価格や立地、機能性に移り都心部や駅から多少遠くても、郊外で広く住環境の整った一戸建てに住みたいと考える人が「ウィズコロナ」時代で本格化していきます。