国税庁が7月に発表した2019年分の路線価によると、訪日客に人気がある沖縄県などの地価が上がり、地方でも高齢者が戻り始めた都市部中心地での回復が目立ち、地方の地価を下支えしています。全国平均の路線価は前年比1.3%上がり、4年連続上昇。上昇率は、この4年で最も高くなりました。地価を押し上げた要因が訪日客の増加。訪日客に人気がある地域では、ホテルや商業施設の建設需要があり、地価が上昇。高齢者は、病院や商業施設が徒歩圏内にあり、暮らしやすい都市部に移り住みます。こうした需要が、地方でも駅前や商業施設の周辺などの地価を支えています。一方で、人口減は地価下落の圧力として残ります。大都市は、人口の流入もあって地価が上昇してきましたが、一部では一服感も出てきました。背景にあるのが投資マネーの減速です。昨年度の不動産取引額は、約3兆6千億円と、2012年以来6年ぶりに4兆円を割りました。物件価格の高騰で過熱感が意識されているため、投資対象物件の品薄化が背景にあるようです。