主力企業融資の採算が厳しさを増すなかリスクの高い不動産関連融資に過度に傾斜したためです。2018年投資用不動産向け融資の残高は9月末時点で33兆円。2年半で5兆円膨らんだようです。2015年の相続税制改正後、富裕層を中心に節税目的の投資用アパート・マンションの建設と副収入や資産形成を狙った一般会社員らの取得熱が高まりました。地方銀行など主に地域金融機関は、マイナス金利政策下で収益が悪化、一定の利ざやを期待できるこのような投資用不動産向け融資を競い合いました。地価やマンション価格など不動産市況は1980年代末のような異常なバブルには至っていませんが銀行の不動産業向け貸し出しはバブル期並みに過熱しつつあります。日本は人口減や地方経済の停滞という構造問題を抱え、銀行は空室率や賃料の見通しなど中長期的な資産価値を十分に見極めて貸さなければ、顧客はもちろん将来は自分の首もしめかねないでしょう。