国土交通省が公表した2019年公示地価は、全国平均地価が4年連続で上昇しました。商業地を中心に上昇基調を強め、地価回復のすそ野は地方でも一段と広がっています。実需を支えに、低金利を背景とする投資資金の流入が続き東京や大阪だけでなく、札幌や福岡などでもオフィスビルの空室率が低下し賃料が上昇、なかでも東京の都心部ビルの空室率はリーマン・ショックがあった2008年以前の水準です。東京や京都、沖縄などの商業地は、リーマン・ショック前の水準を上回り全国的に上昇率が20%を上回るような地点も増えています。札幌、仙台、広島、福岡の地方4市では調査地点の9割以上で地価が上がり、ほぼ全面高の様相。根底にあるのはカネ余り、実需による支えがあるとはいえ、値上がりへの期待感から地価はふれやすいだけに地価動向は注意を要する段階に入ってきたといえます。特に住宅市場の先行きは心配になり首都圏ではマンション価格が高止まりして、需要が追いつかない状況です。企業業績の改善が賃金上昇につながる好循環が途切れるようだと、住宅市場は早晩、調整局面を迎えることでしょう。