地価下落のサインかもしれません。デベロッパーの販売姿勢が慎重になっています。某研究所が発表した首都圏の新築マンションに関する調査によると、1度に売り出す戸数が10戸未満だった割合が2017年1~6月、前年平均を6.3ポイント上回り、58.4%になりました。市場バランスが崩れる懸念から小分けにして売っているようです。
中古マンションも高騰し実需が伴わず、一部で値崩れも起き始めています。都心部では1年前、売買益狙いで相場より高めに値付けした物件も売れました。しかし、今は値下げしないと売れない。2017年の路線価は全国の標準宅地で前年比0.4%のプラスでしたが、不動産投資の現場ではすでに下落の足音が高まっています。潮目の変化は、不動産市場全体の背景にある「大量供給時代」の幕開けです。「2022年問題」として相続税対策で人気の賃貸アパート建設、巨大物件の建設が相次ぐ物流施設、東京五輪やインバウンド需要に備えるホテル、2018年以降に大都市で急増するオフィスも過剰供給の懸念が強い。市況の停滞感をかぎ取った不動産投資信託(REIT)市場では、東証REIT指数が年初から約8%下落。平成の「不動産神話」を支えてきた低金利も、世界的な金利上昇への流れで先が見えない、上がらない価格の先には資産デフレの影も忍び寄ります。それが不動産市場の実態になる恐れがあります。